気質は「性格」ではなく、前提に近い
気質は、努力や経験で後から作られたものではありません。
考え方や価値観よりも手前にある、
反応の速さ、刺激への耐性、回復のしかた。
それは「性格がこうだから」という話ではなく、
最初から備わっている、感じ方の土台です。
静かな環境で力を出しやすい人。
刺激がある方が集中できる人。
すぐ切り替えられる人。
一度疲れると回復に時間がかかる人。
どれも良し悪しではなく、
単に前提が違うだけです。
気質を変えようとすると、ズレが大きくなる
多くの人は、
うまくいかないときに「自分を変えよう」とします。
もっと強くなろう。
気にしないようにしよう。
周りに合わせられるようになろう。
でも、変えにくい気質の部分に対して
無理に修正をかけると、
暮らしのズレは小さくなるどころか、
むしろ広がっていきます。
頑張っているのに疲れる。
合わせているのに余裕がない。
できているはずなのに、消耗が残る。
それは、
本人の努力が足りないのではなく、
前提を無視した調整を続けている状態です。
問題は「向いていないやり方」を続けていること
気質が合っていないやり方は、
成果が出にくいだけでなく、
回復にかかるコストが大きくなります。
・刺激が多い環境で考え続ける
・切り替えが苦手なのに即断を求められる
・疲れやすいのに、休まない前提で回される
こうした状況では、
どれだけ工夫しても、
土台からズレたままになります。
うまく回らない原因は、
能力ではなく、
「前提とやり方の組み合わせ」にあります。
変えるべきなのは、気質ではなく設計
気質そのものを変えようとする必要はありません。
変えるべきなのは、
その気質のまま回る形になっているかどうか。
・刺激を減らす
・判断の回数を減らす
・回復できる余白を先に組み込む
・得意な処理ルートを使う
こうした設計を先に整えることで、
同じ気質でも、
消耗の量は大きく変わります。
「変えない」ことは、諦めではない
気質を変えない、という選択は、
現状に甘えることではありません。
自分の前提を正確に把握したうえで、
無理の少ない形を選ぶ、という判断です。
直そうとするほど苦しくなるなら、
それは「直す対象」ではなかった可能性が高い。
ここまでで見てきたように、
人のしんどさの多くは、
性格ではなく設計の問題です。
次の章では、
気質の上に重なっていく
「あとから育つ脳のクセ」について見ていきます。


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